後日写真で紹介しますが、ここ２日ほど
Z1-Rのクランクケースのネジ山の
修理をしておりました。
以前いろいろ問題がある箇所を
２０１５年の２月２１日に
ブログで紹介したことがあります。
よければ確認してください。
車両を他店で買われ、当社にレストアで入庫しています。
このZ１－Rのエンジン、
クランクケースまわりだけでネジ山に
問題があるところが２１箇所有り、
その修理だけで、約まる２日かかりました。
通常本数的には丁寧に作業して、
一日あれば終わるぐらいの量なのですが、
今回はそうはいきませんでした。
ボルトが折れて残っていたものが数本あったのと
そのうち１本がその折れたボルトを取ろうとして
ミスをした形跡が残っており、
それを修理するのに１本だけで４時間近く
かかったためです。
普通自社では治せないと思います。
整備の仕事を始めてから２０年になりますが
今までレストアする中で一番問題がある車両です。
このような問題があるものを当社では
ベース車両として購入しないので、
持ち込みの車両でこういうことが起きます。
このバイクが入庫した時に、
オーナーさんには別のバイクを購入し
それをレストアしたほうが良いと
すすめた程です。
ですが思い入れがあるとのことで、
その車両をレストア、オーバーホールを
することになりました。
当社でベース車両として購入するものに比べ
このZ１－Rは、全ての作業時間が平均して
２倍はかかっています。
ということは工賃は２倍、そして部品代も
治す箇所が多いということはその分も
多くかかります。
ということは本来、レストア費用も大幅に多く
いただかなくてはなりません。
ですが今回そのような特別な追加費用は
いただいておりません。
はっきりと赤字です。しかもかなりの。
会社から見ればこれはとても良くないことなのですが、
あらかじめ分解前の外から見た状態で
予想は付いておりました。プロですので。
ちなみに普通当社でベース車両を探して
製作、販売するものでも、
使用する部品代、作業時間から、
いつも赤字になるかぎりぎりぐらいです。
本来旧車でもきちんと作業したものは
ここまでいいものだ、
本来の魅力を知っていただきたいからです。
若い人にも見ていただいて、
後世にいいものを残していかなければ。
そういう気持ちです。
ですので見積もり後に、
お客様が追加部品、作業を希望されるなら、
追加で費用をいただく必要があるのです。
たとえETC一つでも。
とてもサービスでできるような
利益はいただいていないのです。
自分で言うのもなんですが、
工賃は実際の作業時間に対し、
タダみたいなものです。
だから品質がいいのは当然。
使用部品、作業時間、ノウハウと、
全ての内容レベルが違うからです。
ではなぜ、そのZ１－Rは赤字になるのが解っていて
仕事の依頼を受けたのか。
もちろんオーナーさんの気持ち、
細かいことは言われず、当社にお任せいただいた
ということもあります。
人間性は大事。
気持ちよく仕事がさせてもらえない人の作業を、
身銭を切ってまでする人、会社はありません。
このZ1-Rの仕事を受けた一番の理由は
当社の経験値を上げるため、
というのがすべてです。
というのも、この車両はいわゆる
一般のバイク屋さんで改造され、
販売されているものの中で、
なんとか治せるギリギリぐらいのものだと
思われるから。
しかも定番のよく見るタイプ。
（ちなみに明らかに修理不可能な
変なカスタム車はすぐに解るので
絶対に受けない。いわゆるコテコテ
カスタム）
これからこのZ１－Rのようなものを
依頼される回数は上がっていくでしょう。
程度の良い旧車は増えることはないですから。
このZ１－R変な全く意味のないフレーム補強が
されている。
（これはすべて外してやり直す）
良くない部品で足回りが変更されている。
エンジンもダメ。外装の塗装もダメ。
配線もダメ。
ですが、本質的な部分で決定的なことはなく、
時間をかければ治せそう。
そんな感じです。
昔良く見た改造バイクなのです。
実際にどの程度作業時間が掛かり、
どれぐらいまで部品交換が必要となるのか。
その結果、請求はいくらすれば赤字にならないのか。
ベース車両を入れ替えて製作する場合と、
費用等含め、メリット、デメリット。
オーナーさんの思い入れは
大切にしなければならない。
頭の中だけではなく、
実際にしてみなければわからない部分も
たくさんあるのです。
また通常必要のない工具、部品など、
沢山解ります。
次からこのような依頼があれば
きちんと請求することになりますが、
きちんとした経験から、
きちんと理由を言うことができます。
どのように治したか、全て写真にも残る。
少しこれに関連するのですが、
来店される、あるいはお問い合わせいただく方も、
私は少し話せば、お客様の経験値は
すぐに理解できるようになりました。
その中で、人は同じ道を通って行くのだなと、
感じます。
まずは見た目と、金額だけで決める。
表面的なことだけで判断し、
大なり小なり失敗する。
経験がないのだから、
乗ってどのように走ってくれる、
壊れるかどうか、そんなことは解るはずもない。
アドバイスをもらうにもきちんとした
旧車に乗った人などほとんどいないのだから、
それももらえない。
アドバイスをもらっても、
たいして聞いてない（笑）
お金は安いもの、というだけではなく
逆に高いお金を払えば良いものが手に入ると
思っている人もいる。
悪徳店の思うツボ。甘い。
大きな失敗し、次は失敗しないように、
中身や、本質を考えるようになる。
小さな失敗だと気づかない。
雑誌でもネットでもたくさんの情報は
手に入り、知識の量はすごい人がいます。
それでも、最初は見た目と金額で
決めてしまう。
そして大きな失敗をして、
初めて本気で深く考える。
情報のなかから、自分なりに分析して考えて、
本当に大事な部分は何かを判断する。
どうもこれは２０歳の人でも、
５０歳でも変わらないようで、
人生の経験地は違うはずなのに、
一度大きな失敗しないと、解らないようだ。
私が話しても当社のモノを買うべきだ、
とは言いません。
どのように作業をするか。
どのようなものを販売しているか。
どのようなものは、まともに走らないのか。
事実を言うだけです。
判断するのは私ではないですから。
ただ失敗するのは、再挑戦できるうちでないと。
それが最後の挑戦となってしまう。
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