自社でテストする大切さ

先日、日本で2輪関係のトップクラスの情報に
接している方とお話させていただきました。
世の中にたくさんいる自称事情通などという
くだらないレベルではありません。
現場を知る本物です。
 
次の旧車バイクユーザー支援会の会員様向け
メールマガジンにそのことは詳しく書こうと
考えていますが、その話の中で自社でのテスト
することの大切さを再確認しました。
 
古いバイクばかり仕事をしていると、
情報も判断もそればかりに偏って
頭も堅くなっていきますし、時には
時代に合わない間違った判断しかねません。
 
新しい情報もとりこんで、
必要のない物は捨てる。
今のことなどあまり関係なさそうな
古いバイクでもこれが大切です。
 
古いバイクがトラブルが多いなんてのは
電気自動車も走る今、一体、何十年前の情報?
というような話です。
 
新しいことも吸収していかなければ
お客様のバイクに対しても間違った判断を
することになりかねません。
 
例えばCBX1000が純正ホイール含め
足回りの剛性が低い、となっても
今の技術で足回りの変更を行えば、
それに調子のよいエンジンに
良いマフラーと良いキャブレターを
組み合わせ、唯一の6気筒の素晴らしい音を
聞きながら存分にバイクらしさを楽しめる、
となるわけです。
 
 
趣味ならば間違っても自分の物だけですから、
自分が損をするだけですが、
仕事ならば新しいものにも興味を持ち、
その上で自分の頭で考えて良いと思われる物だけを
お客様のバイクに提供することが大切だと思います。
 
いつも私が言っていますが、
自社でテストすることが大切だと
感じます。
 
お話させていただいた中で、
特に印象に残っているのは、
 
バイクにとって重要な製品の、
強度や耐久性などは、ある程度テストのための
特殊な試験機などで把握することができる、
だが実際に走ってみてどうなのかは、
供給先のテストでなく自社でテストしなければ
解らない部分があるとの事でした。
 
なぜならば、
仲間であるはずの製品の供給先が、
本当のことをいうかどうかは解らないから、
という話なのです。
 
私はびっくりしました。
 
製品を使ってもらい、同じ結果を目指す。
バイクでいえば、それは良いバイクを
作ることであり、
例えて解りやすく言うなら、
レースなどであれば、トップを目指すのが
共通の目的ということになるでしょう。
 
共にトップを目指すという目的がありながら
商品の供給先が背景にいろいろあり、
テストの結果で得られたデータがあっても
本当のことを言わないことがある。
 
そんなことがあるのかと思いました。
 
テストの後に、きちんとしたデータが
返ってこなければ、問題のある箇所も
発見できませんし、
良い部分も伸ばすことができなくなる。
恐ろしいことです。
 
ではどうしたらいいか。
それには自社で走ってテストするしかありません。
 
その自社の結果を得て他社の話も聞き、
その上で考え、決断する。
 
自社でレースをメインに活動をしているのなら
サーキットを走ってテストする。
メカニックがそこまでのレベルで走れない時には
走れる人に走ってもらう。
 
私達の様な一般道を走るバイクを扱うのなら
当然一般道を走りテストする。
この場合、私自身の意見では私の様に
運転は上手すぎない方が良いと思っています。
あまりに上手い人とは感覚、感じる部分で
ずれがあるからです。
 
今の様に特に暑い時も汗ダラダラで走り、
冬のこんな寒い時は誰も乗らね~
という時も走る。
 
ざっと書くとこんな感じです。
まず冷えている時のエンジンの始動性を
確認する。
 
始動性に問題がなければ
軽くIN側のヘッドが暖まるまで
(空冷エンジンの場合)軽く暖機し、
フロントブレーキをしっかりかけた
状態でギヤをロー入れ、
クラッチが張り付きやすいかどうか
確認する。
 
その後スタートし、
暖機運転中にプラグがかぶったりしないか、
車の後ろを走って調子が悪く
ならないか、冷えている時も
乗りにくくないか確認する。
 
信号待ちでエンジンが冷えている時に
ニュートラルにすることができるか、
スタートする時にクラッチのつながりに
不自然さはないか、扱いにくくないか、
ブレーキが冷えている時の効き具合はどうか
確認する。
 
交差点はハンドルが自然にきれ
スムーズに走れるか、
足回りが冷えている時にギャップを
越えた時はどうか、
小さめのコーナーでハンドルは
不自然に切れ込んでこないか、
そのあとにUターンはしやすいか、
確認する。
 
まずそれらを確認し、バイクに慣れてから
それなりのペースでも走ってみて、
問題なくコーナーをこじったりせずに
力まずに曲がれるかを確認する。
この時に思うより外にはらんでいかないか、
内に入りすぎないかも確認する。
 
エンジンは上まで引っかかりなく
回っていくか、力はあるか、
不自然な振動や音はでていないか、
 
上まで回した時にギヤチェンジは
きちんと行えるか、
加速するためにシフトダウンする時も
自然に行えるか。
 
サスペンションセッティングは
どこかにドンピシャではなく、
少し幅は広めで、懐深くできているか
暖まった時にギャップを越えた時はどうか、
どのペーズまで計算できる足回りに
なっているか。
 
完全に暖まったときにクラッチの遊びは
どう変わるか確認。
暖まった時にニュートラルはでやすいか。
 
エンジンを一度止めて、すぐに再始動した時に
問題なくかかるか確認する。
 
高速道路も走ってみて、直進安定性や、
横風の影響はどうか確認する。
 
これは一部ですが、
全てその車種特有の物があるので
その車種本来の状態に仕上がっているか
を確認するのです。
 
車種により違いがありますから、
それをお客さんには納車時にに説明します。
ですから初めて古いバイクに乗るお客様の
納車時の説明には数時間かかることもあります。
 
状態を把握するには
自社でテストを行わなければいけない。
 
人間が乗るものですから、
人が乗ってどう感じるかが大切です。
私達整備する側は良い状態とは
常日頃からどういうものが知っておかなくては
いけない。
 
お客さんにはそこにお金を払うメリットがある。
良いものかどうかを判断できない、
あるいは良くできないのならお金を払って
購入したり、作業してもらう理由がないのです。
 
ですから、状態を知るために必ずテストが
必要です。
 
そのために
当社では私だけでなく、増井にもどんどん
バイクに乗らせます。
 
彼は元々バイクのディーラーに勤めていた
人間ですが、入社時には全く何も解っていなかった。
 
もう彼も当社に来て10年ぐらいになりますから
今はかなりの部分は解るようになってきています。
常に良いものに接し、実際に乗って確認しているうちに
悪い部分に違和感を感じるようになってきています。
 
テストの後にはすぐに必ず感想を聞き
大切なことはメモに残します。
 
まずは私が乗り、何も言わず、
増井君にも乗ってもらいます。
先入観を与えないためです。
 
大きな部分では間違っていませんが、
時に間違った表現をすることがあります。
以前彼が加速時フロントがフワフワすると言い、
私はそれは違うと指摘しました。
 
その車両はフロントがフワフワではなく、
フロントフォークの減衰力が高すぎて
(オイルが硬い様なセッティング)
サスが動かなくなっており、
そのことが接地感を減らしており、
その事自体は解っているようでしたが
伝え方、表現が違っていたのです。
 
物の伝え方が間違っていれば、
その対策も違ったものとなります。
フロントがフワフワするとなれば
減衰力を高める方向にしなければならないのですが、
実際のそのバイクのフロントフォークは
減衰力が高く、むしろ減衰力を下げなくては
いけない状態でした。
 
このようにきちんとした情報が伝えられなければ
答えは100%間違ったものになります。
 
ですからそういう部分があれば
時間がない時でもきちんと話し、
修正します。
 
ではこのようなテストを人任せにして、
正確な情報を得ることができるかと言えば
それは最初に書いたように難しいです。
 
自分でテストするのがベスト、
それができないレベルであれば、
それができる人に走ってもらい、
間に余計なものが入らず、
直に正確に情報が伝わるようにしてもらう。
 
お客様からの情報はダイレクトに伝わってきます。
ですが表現の方法が増井君の話の様に
違ったりすることはよくあるので、
良く話を聞いて内容を確認します。
 
その上で判断すれば結果も良い物がでます。
付き合いも長くなれば、だんだんそのずれも
少なくなくなり、より良い結果が短時間で、
少ない費用でえられるようになります。
 
クドクドと書いてきました。
テストが重要だと少しでも伝われば
良いのですが。
 
話は変わって写真のZ1、
だいぶ前に部分整備で販売したものです。
DSC05068(1)
数は少なかったですが、このころはまだ
ギリギリこのように部分整備で販売できる物が
適切な価格で入手できていました。
これぐらいの物が欲しい方も多くいると
思います。
(エンジンの全分解の整備などは当然
行っています。)
 
エンジン含め大がかりなレストアは行っておらず、
外装もオリジナルペイントです。
地元の方には、すぐに面倒を見れる距離ですから、
このようなものも数は少ないですが販売していました。
今販売しているGS1000Sも部分整備販売です。
 
ところが2018年現在ではZ1含め全体的に
ベースにする車両の金額はかなりあがっています。
Z1はこの車両を入手した時より50万円以上は上がって
いると思います。
 
Z1、MK2、などは部分整備で売ることは
本当に難しい金額になってきました。
ベース車両金額が上がりすぎ、
フルレストア車と金額にあまり差がなくなって
しまっているのです。
 
今ならこのステップなんかはついた状態で
納品しないな、なんて思いつつも、
このZ1のオーナーさんはとても良いタイミングで
購入しやすい金額で買われたと思います。
 
この写真のショート管もこのあと金額は
変わらず品質が下がったため、
当社でチタン製の黒色に塗ったタイプを
作るはめになってしまいました。
 
結局今になって考えれば、中古車は
そのタイミングで決断できる人が勝ちなのです。
ただし良い物だけですけどね。
 

 

投稿者: 田﨑 隆一

タサキチューニング代表です。よろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です