いつでもできる思っていないか。

皆さんいつでも欲しい物が手に入ると
思っていないでしょうか。

古いバイクを本当に手に入れたい、乗りたい、
しかもなるべく無駄なお金を使わずに良い物を
入手したいのなら、
この、いつでも手に入ると思うことは
今から辞めましょう。

先日、
「人生の上がりのバイクになるかもしれませんが」
というお話で
(そのような大事でお問い合わせいただけるのは
大変に光栄なことです)
当社にカワサキ空冷バイクのベース車両を
探してほしいと、HPのお問い合わせフォームから
連絡いただいた方がいたのですが、
本当に古いバイクを手に入れようと考えるなら、
商売抜きで、これはとても正しい判断です。

理由を説明します。
古いバイクで一番の問題になるのは、
元になるベース車両を探すことと、
さらにレストアや整備に必要な部品の
欠品です。

部品は使うなら純正品でも、社外品でも同じく
重要で、部品を自社で作るときには、
材料が特殊なものなら、その材料なども含め
それらが手に入らないというのが
とにかく問題なのです。

今ある物でも明日は欠品になるということを
理解しなくてはいけません。

また代替え部品と言っても、
同じくらい良い物は簡単に見つかるものでは
ありません。
あるいは、なくなった物を自社で作ろうとした時には
驚くほど金額がかかるときもあります。

先日、先ほどの方とは別に、
ニンジャ(GPZ900R)のエンジンオーバーホール、
一部レストアなどについてのお問い合わせをいただいた
お客様がいました。

こちらの方は実際に注文にはなるかどうかは
不明ですが、このニンジャの件は皆さんにも
参考になる部分がある良い例だと思い、
それについて書こうと思います。

少し話はずれるかもしれませんが、
関連があるので見積りについて書きます。

当社に車両、整備についての初めて
ご注文いただく時には比較的大がかりな作業が多く、
注文が確定でない時には概算のざっくりとした
見積りをご連絡させていただいています。

理由は簡単で、作業工程の多さ、必要な部品点数も多く、
お客様よって注文内容も違うため、たとえ慣れている
取り扱い車種であっても、詰めた見積りを
製作するには時間がかなり必要となります。

ですので、注文が確定していない時点では
見積りに必要以上の時間を割くことはできません。
その分、貴重な注文を受けている方の作業時間が
削られてしまうからです。

具体的には、例えばフルレストアのご注文になりますと、
実際に注文が確定したとして、色々調べていると
すぐに丸1日ほどつまり8時間以上かかることもあります。

これは必要な部品が一つ欠品になっていたりして、
その一つの代替え部品を探すのに1時間も
かかるなんてよくあるからです。
こんなことがしょっちゅうあります。

ですから注文が決まる前は今までの経験から
だいたい、いくらぐらいかかるという
概算の見積りにせざるを得ないのです。
その金額を聞いたうえで考えていただければ
いいわけで、ですからお問い合わせはお気軽にと
常日頃言っています。

ここで話がニンジャに戻るのですが、
注文確定の前でもお問い合わせがあった時点で、
特に気になる部分についてはあらかじめ調べる
事があります。

そこでニンジャのエンジンオーバーホールで
気になる部分、純正カムシャフトがまだ部品が
でるのかを調べました。これは簡単に調べられますし
当社も今の情報として知りたかったので。

年式によってでない物があるのは当然ですが、
当社の必要な物はそれほど高い値段でなく
まだ新品が売られていることが解りました。
嬉しい誤算です。

もしこれが欠品だと面倒なことになります。
ニンジャでオーバーホールを考えている方で、
あまり今回の話と内容が重なる方はいないと
思いますが、
ノーマルのカムを使うかもという方は、
早めに動いた方がよいでしょう。
この手の部品は必ず欠品になります。

この純正カムについてなぜ調べたかと言えば
このお問い合わせいただいた方は、センターカウル、
アンダーカウル付の状態でニンジャに乗りたいと
強く希望されており、となると、
純正マフラーをそのまま使うか、
アンダーカウル内に収まる社外品マフラーが
必要になります。
当社でもカウル内に収まるマフラーを
以前作っていましたが現在は生産中止です。
増井が持っている写真がそのマフラーです。
DSC01698

いま思いついたのですが、
当社でもカウルつき用のサイレンサー
左右2本だしタイプなら今でも作れるかも(笑)
もちろん性能、音はカウルは取り付けられない
タイプのオイルパンの下で集合させる通常タイプの
マフラーの方がよいです。

ニンジャのエンジンをカバーする
センター、アンダーカウル内はとても狭く
融通が効かない作りで、
マフラーのエキパイ4本から一気に
集合させることはできず、
1番2番と3番4番をそれぞれ先に
まず集合させ4本→2本にした後に
再度集合2本→1本にします。

DSC01695

カウルを取り付けた状態で、
見た目良く作ることはできるのですが、
カウル内で収まるこのタイプは高回転時に
スカッと回らず、フラットな特性になります。
パイプの長さも違うため、
これは当然です。
DSC00095(2)

音も集合音にならずドバンといった感じ。
DSC01618(2)

つまり、特性は純正のまま
重量が軽く抜けが良くなった分だけ
良く走るようになる商品です。
DSC01617

このマフラーに、ハイカムシャフトを組みこんだ
エンジンを組み合わせても、
本来のハイカムの目的である高回転時に高出力が
でるように出力特性を変化させるこの部品の
よい部分は生かされず、意味がなくなって
しまいます。

結果の出ないことは当社では作業を
しません。つまりハイカムはカウル付の
ニンジャに組み付けても宝の持ち腐れ。
しかもハイカムは高い。
10万円もこれに使うなら、
他に使う方が良い。

ではなぜ純正のカムが必要なのか。
ニンジャ乗りの間では定番のことで、
多くの方が知っていると思いますが、
理由を書きます。

ニンジャは一つのカム山で
2本のバルブを動かすようになっているため
2本のバルブスプリングの反力を
一つのカム山とYの字の形の
ロッカーアームで受けなければならず
負担が大きいのです。
DSC09888

そのせいでその部品が傷み、
両方を交換することもあります。

その後の同じ系列の後期モデル
(写真参照、一つのバルブに一つの
ロッカーアームに変更され対策されています。
これはZZ-Rc型)
ではカム回りは大きく変わっています。
DSC05800

この傷んだカムを換える時に、
いっそボアアップなどでトルクも
確保した上で、
「社外品のカムシャフトに交換して
しまおうか」
という選択もあり得るのですが、
先ほど書いたカウルをつけた状態で
使えるマフラーのタイプですと、
フラット特製でハイカムをつける意味が
なくなってしまうのです。

ちなみに初期のニンジャは世界最速を
狙ったモデルですから、最初から、
高回転、高出力を狙ったモデルです。
元々ハイカム寄りなのです。
ちなみにニンジャの純正サイレンサーにも
抜けの良い短いタイプが存在します。
パッとみ解りませんが良く見ると
違いが解ります。

ちなみにニンジャにポート加工、
ハイカムなどを組みこんでも、レブリミット付近の
回転を使うとZZ-Rなどに比べ、やや苦しげに
回ります。

つまりカウル付のマフラーにハイカムシャフト
を組み付けるのは、部品としての相性が悪い。

こういうことを無視してお金をかけて
バイクを造り上げても、望む結果は得られず、
よく走り、調子が良い期間が長く続く、
無駄なお金を使いたくないと言う私達が
普通に思っている結果はでないわけです。

新品でなく中古の純正カムを探すと言っても、
元々先ほど書いたように傷みやすい部品なので
良い物は少なく、新品が適切な価格で
入手できるなら、絶対にその方が良いのです。

こういう部分にケチらず、お金をかけることが
良いオーバーホールエンジンを手に入れる、
つまり結果を手に入れるコツです。

当社ではエンジン組み立て中にこういう重要な
部分の部品番号や、部品の写真を撮って残し、
オーナーさんに渡します。
そうすれば部品番号、使った部品の写真も残るので、
後で確認したくなった時に、
何をどこに使ったかもすぐに解ります。

だからとりあえずですが、
交換の必要があるかどうか解らないけれど
注文の可能性があるので、純正のカムが
傷んでいても交換できるように
調べたわけです。

20年もこの仕事をしていると、
「無理な組み合わせでもやってくれ」
という方がたまにはいますが、
当社ではやりません。
悪くすることに興味はなく、良くしたいからです。

今回の様にカウルをつけた状態で乗りたいと
なった場合、機関上ではベストでは
ないと思います。

ですが人それぞれ大切にしたいことは
違います。

一番良い組み合わせをでなくても、
充分によい思いができると確信が
持てる時には少しぐらい無理をしても
オーナーさんの希望をかなえたいと思っています。

ですがダメと解っているときにはしません。
ダメなものはダメなのです。

機械は正直なので忖度して、
「この組み合わせは最悪だけど、
オーナーさんがいい人だから頑張って馬力出しとこ」
などはしてくれません。

重たいホイール、
長すぎるリヤショック、
短すぎのフロントフォークは
古いバイクのダメな改造として
一番解りやすいでしょう。

古いバイクを本当に手に入れたい、乗りたい、
しかもなるべく無駄なお金を使わずに良い物を
入手したいと考えるなら、
いつでも手に入る、お金が全額溜まるまで
ずっと待つという考え方がベストとは
思えません。

部品の欠品は増えていく、
良い状態のベース車両は減っていき、
お金を持っている右から左に売りさばく
人間に、大量にどんどん買われて
いっています。残念ながら今の私には
どうにもできません。

買われてしまえばその人の売値でしか買えなくなり、
一生懸命長い時間をかけて買うための資金を貯めても、
それが無駄になるかもしれません。

バイクや車は腕時計などとは違います。

バイクを買うことだけではなく、
買ってから、上手く使いこなすことに
これからの時間を使いませんか。

速く走らなくても、私は人それぞれのペースで
愉しく走れば良いと思っています。

バイクを買うための資金を用意するのに
仕事も頑張らなくてはいけない、
家族にも気を使っている人もいるかもしれません。
バイクぐらい好きに乗らせろと、
考えてもいいのではないでしょうか。

また話がずれました。
本当の意味で上手く扱えるようになるには
時間がかかります。

そこが面白いところなのです。
上手く運転ができた時の気持ちよさは
古いバイクに乗っている方なら
皆さん解ってもらえると思います。

思いを巡らせるだけで、
どんどん価格が高くなっている古いバイクを
それでも迷って古いバイクを買ったことのない方に
リスクを減らす私なりのお金についての
私が実経験から得たアドバイスがあります。

それは古いバイクを買う時には、整備や
フルレストア、あるいは部分レストアでも
いいのできちんと作業されたものを買うこと。
もちろんその証拠がある物がベスト。
いつもと同じことを言ってますが、
最後まで読んでください。

ただし、これは必ず口だけのインチキ状態ではなく、
本当にきちんと作業されたもの。これが重要。
きちんと調べてください。

そしてそのバイクの販売価格の半分を貯めること。
残りの半分はローンでよいのです。
この半分貯めるのがミソです。

この整備にはエンジンオーバーホールなどを
含みます。
要は、もし急にどうしても手放さなくては
いけない時が訪れたとしても、
次のオーナーさんがすぐに乗りだせる状態の物を
持つのです。
程度が良いでは不十分です。
次の買い手がそのままでも乗れるようなものを
持つのです。

これには理由があり、人気がある、ないにかかわらず、
すぐに乗れる程度の良いもので、何をどこまで、
どのような整備、レストアしたものか証拠があれば
悲しくも手放さなくてはいけない時がもし訪れても、
(大切に乗っておりすぐに乗れる状態に
なっているという条件はつきます。不動車では
ただの金属の塊です)
かなり年月が経っていても購入金額半分ほどの
金額で売れます。
もちろん別のバイクに乗り換えるときにも
これがあてはまります。

したがって手元にローンがたくさん残っていても
売った金額で相殺でき、ローンはなくなる。
ローンが少なくなっていれば、手元にお金も
残ります。

これが状態の悪いものであれば、
売れないことがほとんどですし、
売れてもタダみたいな金額になります。

例をあげれば、いま当社で扱っている
程度が良いGS1000でもオーバーホール済みで
購入する方が絶対に良く、乗って楽しめ、
売るときには売りやすく、値段も残りやすいのです。
ここの部分が解っていない人がおり、
損をしています。

つまり最初にきちんとした物を買えば
古いバイクの場合、乗った分、楽しんだ分だけ
金額は下がりますが、一定のところからは
下がらないのです。

それは状態の良い物はマニアなバイクでも
欲しがる方がいるからです。

そして買った金額の半分は残ります。
つまり半分の金額で買ったことになる。
もちろん状態が良ければそれよりもさらに
売る時の金額は高くなります。

実際に当社に売った方でそういう方は
半値どころではなく、もっと高いです。

ですが当社のお客様でない方で、
買った金額そのままで売ろうとする人の話を
聞きます。それは間違いです。

出来上がって納車された時点で、
買い取りの金額は下がるのですから。
また不動産の様に持っていて価値が上がるから
買うなんてのは好きではありません。
それは他のことでやって欲しいです。

だからなるべく長く乗って、存分に愉しむ。
そうしても、一定の価値は残るので、
次の一歩も踏み出しやすいのです。

「いつでも買えるんだけどね」
と言っている人がいます。
これは思っていても人には言わない方が
いいと思います。恥ずかしい言葉です。
本当に欲しい人はそんなこと言わずに
すぐに買います。

手持ちが少なくても本当に好きでリスクが
あっても買う人と、買えると言いながら
実際には何もしない人は全く違う次元の人です。
一緒にしないでほしい。
たまにはチャレンジしなければ
前に進めないこともあるのではないでしょうか。

ただしリスクは小さい方が良い。
とにかくまともな物を買う。
リスクを減らしたい方は
そのバイクの金額の半分を貯める。
クズは絶対に買わない。

それでも怖くてダメだという方は
一番大切な時間を捨てているのと
同じではないでしょうか。
あきらめて他のことをしましょう。
いつでも買えるなんてことを
回りに言って歩くのは言うのは時間の無駄です。
一生は一度きりです。

とりあえず、ではなく、
趣味の物でも先を見据えて行きたいものです。

 

投稿者: 田﨑 隆一

タサキチューニング代表です。よろしくお願いします。

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