雑感 プラグの熱価が下げられているのはなぜ?

日記

販売車両GSXR1100の整備紹介を紹介してきましたが
スマホのメモに書いてある雑感が溜まってきたので
今日からしばらくそれについて書いていこうと思います。

当社では程度の良いことを優先していますから
仕入れるバイクはなるべくノーマル車を
狙って買うので、
キャブは純正のままがついているということが
ほぼ100%になります。

マフラーもノーマルのものがほとんどで、
たまに変わっている程度。

そのようなノーマルに近い状態なのに
仕入れたバイクに共通して変更されて
いるものがあります。

古めのバイクであれば国産車でも
DUCATIなどでも共通です。

また極端に低走行距離の物でも
30年、40年前の物ぐらい前のものになれば
多く変更されているものです。
なんだと思いますか?

大げさに言うほどではないのですが、
それはスパークプラグ。

プラグは数年に一度くらいは
交換したほうがよい消耗部品ですが、
多くの場合古いバイクなら一つ番手が
下げられています。
先日部品どりで買ったDUCATI900ssも
純正キャブがついていましたが
一つ番手が下げられていました。

標準の熱価がB8ESならB7ESがついていると
いうことなのですが、7番になれば焼けやすくなるので
かぶりにくくなり、走った時の見た目も黒から
きつね色だったり白だったり方向に変わってきます。

私は古いバイクのが調子が悪い時には
他に原因があることが多いので
点火系ノーマルなら古いバイクにイリジウムプラグは
必要ないと思っていますが時々見かけます。

番手が落とされていても真っ黒に
なっていることが多いですね。

また標準番手だったとしたら、
黒いだけでなく湿っているものが多く見られます。

エンジンも車体もキャブもノーマルで
場合によっては1万キロも走っていない
低走行距離ものでもそうです。なぜそうなるのか?

理由は皆さんも解るように簡単、
エンジンが欲しがっている混合気を
キャブレターから供給できていないから
なのですが、
その大きな理由の一つに人それぞれ乗り方が
大きく異なるという点があります。

(番手を下げる理由は調子が悪くて
かぶったり、上まで吹け上がらず
ボコついたりするからですよね)

当社も開業から20年以上経っていますが、
それで学んだことがあります。

それは私とお客様では
アクセルの開け方、閉じ方、使用回転域、
負荷のかかり方が大きく異なる使い方を
されることが多いということです。

当社のお客様はディーラーなどに比べれば
年齢層も大きく異なることなく、
嗜好も近いことが多く、バイクに対して
知識もそれなりに経験がある方が多いです。

それでも乗り方や、取り扱いに大きく差が
あるということです。

これには今まで乗ってきたバイクによって
自然に身についたあるいは染み込んだ経験が
大きいように思います。

私が本当の意味で自分のバイクとして
乗ったのは最初2サイクルエンジン車でした。
つまり回して乗るのが当たり前のバイクです。

そしてそれによって大きい排気量の
4サイクル車に乗っても
ある程度回して乗ることが染みついている。

私よりもさらに一回り上の世代の方、
つまり60代くらいから上の方は、
間違った始動や運転をすれば調子が悪くなる。
止まってしまうという経験をお持ちの方が
多いので、これまた適切な使い方、
カーボンを溜めない、調子の悪くならない運転の
仕方が身についている方が多い。

キャブレター時代のノーマルに近いバイクに
乗られている方は全体に運転がおとなしめだったり、
丁寧に扱われているものが多い。

もちろんそれは整備する側からすれば
良いことなのですが、
エンジン内にはカーボンが溜まり、
バルブ回りにもカーボンの噛みこみなど多く
そんなに距離を走っていなくても
調子を崩しているものがとても多い。

その時に純正キャブ。

純正キャブはエンジンやそのほか点火系など
全てが本来の調子で動いている時に
合わせられた調整が施されている。
つまり新車ですね。

ところが世にある中古車はすでに
誰かに乗られ、使われた後のバイクです。
例えそれが5000キロしか走っていなくても
調子を崩すのにはそれで充分。
そして純正キャブは細かいセッティング変更が
出来ない。

そういう人それぞれの運転に合わせた調整を
する時には細かくセッティングが変更できる
キャブレターが良いということです。

その意味ではCRキャブレターも
細かくできるかというとやや難しいかもしれません。

エンジンのコンディションが落ちている時には大体
薄めのセッティングを施さなくてはいけないことが
多いですね。

しかもアクセルの開け始め
1/16から1/2ぐらいまでの部分を
細かく調整できるものが良いです。

そういう意味でCRよりもFCRの方が
細かく調整できます。

純正キャブの見た目にこだわる方の気持ちも
良く解ります。

でもそれはそれができる状態の時にのみ
出来ることで、たとえそれがエンジンOH直後は
可能だとしても、
結局今度は乗り手によってすぐ調子を悪くして
しまうことも多くある。
これは忙しくて乗れないということでも
調子を崩すことも良くあります。

これは20年以上この世界にいて、
経験したからこそ分かったことです。

でも私が思うに、古いバイクに乗るのに
そんな小難しい、
こういう乗り方をしなくては
いけないというのは面倒ですよね。

何も難しいことはありません。

大事な点は
ものの1分程度の暖機運転ですぐに走り始める。
後は乗りながらエンジンを温める。
そして適度に回して乗る。
これは中回転域から上を時々は使うということ。
そして強くエンジンブレーキがかかるような
運転をしないこと。

これだけ出来ればよいです。

ただし、間違った使い方は
修正しなければいけません。

エンジン始動してすぐに全開。
ガンガン高回転域で強いエンジンブレーキをかける。
エンジンにあっていないエンジンオイルを入れる。
なんていう大抵の人はしないことです。


元々乗り方、扱い方に違いがあって当たり前。
それによって違いが出る
エンジンのコンディションに合わせるため
優れた調整の効くキャブレターが良いのです。

そのいろんな方が使っても
走れて調子が崩れにくいものとするのに
インジェクション車は役立っています。

ですが調子の良いキャブレター車に乗ってみれば。
それとは違う面白さが解っていただけると思います。

私はあくまで道具に人間が合わせるのではなく
扱いやすいように、人に道具を合わせる。
そのためにFCRなどのキャブレターが良いと思っています。








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