混合気が語る750cc ― ポート・燃焼室・キャブセッティング

日記

当社は忙しくまだ仕事中です。
ですので普通に更新。

今は販売できる在庫車両はないのですが、
初期タイプのGSXR750のヘッドの話から。

当社ではGR71Fの方の車体番号のものは
取り扱っていないためGR71Gの車体番号の
タイプですね。

GSXR750の混合気と排気ガスが流れる
ポートは、他の近い年代の
4バルブエンジンから見比べた時に、
形状がよくて最初からチューニングされて
いるかのように好印象です。

サクッと探してみたのですが残念ながら
キチンと形状が解る写真は持って
いなかったのですが
またどこかのタイミングで撮って
紹介したいと思います。

当然一般的に油冷と言われるエンジンですが
これはエンジンオイルを積極的に
冷却に使ってはいますが空冷エンジンですので
水路がない分作りやすいのかなとも
考えているのですが、
メーカーが頑張って作らないと
この様な良い物にはなりません。

整備のために
ポートのカーボン除去作業を行うと
元々の形がよく解って不自然なところがなく
形も綺麗で、段差やでこぼこも少なく
750ccでも径も大きめなことが確認できます。

もちろんポートは
大きければよいというわけではなく
バランスが悪いと乗りにくくなったり
出力もでず、音も変になったりします。

その中で、低中速域のトルクも充分にあり
扱いやすく、吸排気をきちんとすれば
変な谷も出ることなく、しかも高回転域の
ピークパワーも出て、高回転域の
伸びも気持ちが良いのです。

こういう時にはきちんと理由があり
もちろん他の所と関連しますが、
ポートや燃焼室など順番に見ていくと
納得できます。
当たり前のことが当たり前に
出来ていているわけです。

もちろんそうは言っても大量生産品ですから、
今まで私が見たものは吸気バルブシート回りの
段差が少しあったり、最低限手を加えたい
ところがありますね。
それでも、ほんの少しですから
その部分に何もしなくてもきちんと走ります。

それでも古いバイクでこの750ccという
排気量は調子の維持が吸排気系
ノーマルのままだと難しいのではないかと
エンジンの作業をしていると感じます。

なんせ750ccは全体的に
燃焼室、ポートに湿ったカーボンの
堆積が多い。
ちなみに写真で紹介しているものは
少ない方ですね。

何度も今まで繰り返し書いていますが
当社ではキャブレターを社外品の
キャブレターに交換してから納品することが
殆どです。

これはキャブレターセッティングを
エンジンと排気系に合わせて
調整できるからです。

純正のキャブレターはノーマル前提で、
しかもコンディションが良い時に
合わせて作られています。
キャブ自体も消耗していない前提です。

例えば1000ccの4気筒エンジンで
一気筒当たりの排気量が250ccになります。

これぐらい排気量があると、
キャブレターセッティングがずれても
調子が崩れることが少なく、
燃焼室内の温度が下がるのが防げ
湿ったカーボンの堆積は少なくなります。

ところが4気筒750ccエンジンなら
1気筒当たり187.5cc、かなり少なくなります。
そうなると条件が変わってきた時に
受ける影響が大きくなります。

それはエンジンの圧縮が下がった。
走ってエンジンの温度が変わって
エンジン内のクリアランスが変わった。

カーボンの堆積でスムーズに吸排気が
出来なくなった。
エアクリーナーの抵抗が増えた。
キャブが消耗して、細かい調整が
出来なくなった。
走る場所が変わって空気の密度、
温度が変わった。

どの古いバイクでもすべての影響を
常にうけながら走っています。

この時に排気量が小さくて
1気筒当たりのポートを通る流量が
少ない時に、キャブレターの調整が
難しくなります。
一般道を走る時、殆どアクセルの開度は
2分の1以下ですからね。

4気筒750ccエンジン車であれば
その分ポートもキャブも小さめに
作ればよいと思われるかもしれませんが、
そうなるとスペック的にしょぼくなり
売れなくなるので
そう言うわけにもいきません。
出来るだけ高出力に、となりますね。

マフラーやキャブレターがノーマル
車両を整備のために分解してみると、
カワサキZ系2バルブエンジンでも
スズキ系4バルブでも、
750cc物の方が燃焼室やポートのカーボン
堆積量が多め、しかも湿りがちの物が
割合的には多めですね。

本来なら、
トルクとパワーが大きい排気量の
バイクに比べ低いわけですから
その分常用するエンジン回転が
やや高めになりますよね。

ならば燃焼室内の温度も上がって
湿り気味の燃焼室にはなりにくいと
なるはずです。

ですが実際にはそうなっていない。

つまり常用域のキャブレターセッティングが
あいにくい、ずれやすいということなんでしょうね。
となるとノーマルのままで長い間
良いコンディションを保つのは難しいと
言えると思います。

その結果として
一般道で乗られている方のエンジンを
分解してみれば燃焼室とポートの
カーボン堆積量が多く、しかも燃焼温度が
下がっているので湿り気味のものが多い、と
いうことが多くなっているわけです。

ではどうすればよい?

それはエンジンの欲しがる混合気を
提供でき、多少条件が変わっても
融通が利く性能の良いキャブレターと、
キチンと排気をしてくれる
フン詰まりでないマフラーを使うこと
ですね。

今では値段が上がってかなりきついですが
それでもFCRキャブレターを
生産し続けてくれることを祈るばかりです。

では750ccエンジンのメリットは。
一般道で高回転域まで使うことができ
乗せられている感が少なくなる。
価格的には一般的には安くなることが
多いですね。

逆に高速道路を常用する方には
その分高回転を使うことが多くなり
不向きかもしれません。
また良いマフラーがないことも多いですね。
音も上手くいい音にするのも
難しくなります。

では皆様、来年もよろしくお願いします。

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