CB1100R

日記

写真のCB1100R、何度か書いているように今回はエンジンのオーバーホールで作業依頼を受けていたのですが、納品前の走行テストでエンジンは予想より良い走りをしてくれました。

他店からの引継ぎ作業で、ばらされた状態で預かったため作業を進めるたびに問題が発生し、段取り通り作業が進むことはほとんどなく大変でしたが、完成して良く走ったことはとても嬉しいことです。

良い走りとは単純にパワーとトルクがあって、しかも音が良いこと、そしてエンジンの始動性が良いことです。クラッチ回りもエンジンだけでなくレバー回りやケーブルも変更し、操作性も上がっておりとても扱いやすくなっています。

CB1100Rは入庫のほとんどない珍しい車種であり、どうしても比べる対象が少なくなってきます。以前乗って確認していたのは自社で製作したものではなく、他社のものでした。その時の印象は充分に良いものの、感動まではしませんでした。

その時乗ったCBと今回オーバーホールしたエンジンのピストンは同じコスワース製、マフラーも同じくビトーR&D製です。違いがあるのは当社のものはポート研磨加工をしていないこと、そしてマフラーのサイレンサーが、今回当社でオーバーホールしたものはストリート用ではなくレース仕様であることです。
走っている時の音はそれほど大きくありませんが、始動時の音はやや大きく感じます。オイルクーラーがなくなっていたため、当社でオイルクーラーキットを製作しましたが、それは性能には直接関係しないところです。

また他社さんの作業ではエンジン内の消耗品をどこまで交換しているかは解らないのですが、おそらく当社の方が純正部品の交換量は多いと思われます。

CB1100Rのように欠品が多くあるエンジンでオーバーホールするときには、それら部品をどうするかを調べて、実際にどこまで交換するか良く考えなければいけません。意味のないところをやみくもに交換しても費用が無駄になるだけです。
これは表に大変さがでないお客さんには解りにくい部分であり、とても手間がかかります。おそらく今回のエンジンオーバーホールはそれだけでも普通の1.5ほど時間がかかっていると思います。
問題がある部分を簡単に諦めていては、その辺を走っているオーバーホールとは言えないしょうもないエンジンになってしまいます。

またほとんどの場合これらにかかる時間、部品代はお客さんには請求されることもないです。つまりオーバーホール一式いくらで作業を受けるため、追加で費用をいただくことはよっぽど特別なことがない限りないわけです。特別なこととはクランクケースにクラックがあり使えない時など。

最初に見積りをしていて、特別なことがないのに費用が大きく膨らんでいたら、それは変な話ですよね。

今回のCB1100Rは車体側で追加の費用はいただきましたが、それはエンジンと違い、車体側はきちんと見積りができない状況でお預かりしたので、その分は作業後に追加でいただくことはあらかじめ説明していました。

今回のようなあらかじめ計算通りと行かない時には、作業する側はノウハウを得られるものの、直接的な費用面では得なことはまるでないわけです。他社からの引継ぎは問題だらけ、解らないことだらけです。

それでも無事完成して私は安堵し、予想よりも良く走ったことはとても嬉しく思います。

今まで乗ったCB1100Rはもしかするとキャブレターセッティングが少し薄かったのかもしれません。あるいはマフラーの抜けが足りなかったか、エンジン内の純正部品の交換量が少なかったのかも。CB‐F系のノーマルはややクラッチ操作が扱いにくいですが、そこを改善できたのも良かったところです。こういう部分はノウハウと、トライ&エラーの数、簡単にあきらめないことですね。

どちらにしても良く走ることに超したことはありません。きっと持ち主の方も喜んでくれると思います。

今回の最後に。良く走るための基本はエンジンであり、それにマフラーとキャブと点火系です。どれも大事ですが、何をするにもまずはエンジンがきちんと本来の調子でなければ良く走りません。それも知りもせず回りの小手先の部分で帳尻を合わせようとするのは間違いです。

相変わらず本来のエンジンの調子を知らず、どのオイルが良い?キャブレターを改造する?点火系を交換する?などと枝葉の話が出てきます。

今のオイルは昔に比べ格段に性能が上がっています。したがってレースや峠道グルグルなどでより過酷な状況でなければほとんど純正オイルで充分。これを定期的にフィルターとともに交換する。
キャブレターもFCR、TMR、CRどれもそのままで充分に高性能です。まずはマフラー共々充分なノウハウを使ってセッティングをきちんと出す。これが先決です。今回のCBはメインジェットは番手を落としました。

キチンと本来の性能を発揮して、それでも足りない部分や、乗り方、使用方法によって必要な部分が出てくれば加工なり追加で作業すればよい。まともなものを知らずして、あれこれ必要もないことに時間もお金も使うのは全くの無駄です。余計なことをしなければ、高性能なマグホイールや、車体のレストアなどにも費用が回せる日が来ます。

とにかく、基本は良いエンジンです。古いバイクに乗るのであれば、まずはあれもこれもせず良いエンジンを手に入れましょう。

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