極上ニンジャ整備車両を作る(5)

販売車両

本年もよろしくお願いします。
カワサキZ1が入庫しました。近々紹介します。

販売車両ニンジャの整備模様の続きです。

外装の塗装したのに合わせ、
アッパーカウルのインナーパネルを清掃します。

外装だけ綺麗など、部分的に突出した
箇所があると他の部分とバランスが悪くなって
しまいます。

結局どのレベルで見た目と機能面で
バランスを合わせるのかが、
それぞれの店の考え方が出る部分だと思います。
全く考えていない風のものもありますが、
選ぶ権利はお客様側にありますから。

外装を美しく仕上げるとなると、
それに合わせて他の部分の見た目レベルと
機関の好調さなど、全体のバランスを
合わせるように作業しています。


結果的にその方がお客様が(ユーザーさん)
納品後に無駄な出費と時間のロスを減らせると
思っています。

カウルのインナーパネルは塗装されていない為、
劣化しやすい部品ですが、今回のものは
メーター回りに少し傷はあるものの再使用
で問題ありませんでした。

ばらしたときにしか徹底した掃除は
できないので、表だけでなく裏側もきれいにします。

続いてセルモーターのリレー。

セルのリレーは車種によっては長く使用しても
見た目の劣化は起きるものの
特に問題が起きないものもあります。

ですがGPZ900Rのセルは割と後期のモデルであっても、
このセルリレーの不具合でセルモーター回りっぱなし病
になる場合があります。

セルのリレーはバッテリーからダイレクトに
配線されている関係で、いったん不具合が出ると
イグニッションスイッチやランスイッチを
オフにしてもセルが回り続けるので、
かなり困る不具合で、
私も経験したことが実際にあります。

ですので当社で販売するニンジャは、
過去に新品に交換されていないものに関しては
全て写真のセルリレーを交換してから納品しています。

今回のニンジャは当社で前オーナーさんに販売時、
交換しているので錆びやすい端子回りのチェックなどを
行い再使用します。


少しピンボケですがご覧のように綺麗な状態です。
この時に回りのゴム部品なども問題ないか
チェックします。
このあたりの純正ゴム部品は長持ちするものが
多く、今回も交換の必要はありません。

ただなんでもそうですが見てもいないのに整備済み
だと簡単に言うのではなく、一度掃除をして
状態を確認して問題ないことを確認しておくことが
整備としては大切なのです。

バッテリーケースを外します。
ニンジャはバッテリー下のボルトが錆やすく、
そのままにしておくと固着して整備などで
外したいときに簡単にとれなくなって
しまうことがあります。

ですので、他の部分のチェックも含めて
一旦バッテリーケースを外します。

清掃したバッテリーケース。バッテリーの下に
固定のためのボルトが3本ありますが、
大概錆びまくっています。

裏側もこういう時しか掃除できないので
綺麗にしときます。

バッテリーケースを外すついでに
ラジエターのリザーブタンクを外し内外の清掃をします。
これも大概中は長年の汚れが沈殿しているので。
この写真も清掃後。

またGPZ900Rはリザーブタンクのキャップの
口が開いてだめになって冷却水が漏れやすくなって
いるものや、キャップの締めすぎでパッキンが
ダメになっているものもあるので
チェックします。

この車両は大丈夫です。

当社に車検などで定期的に入っているものは、
こういう不具合が出やすい部分は
定期的にチェックしているので殆ど
問題ありません。

始めて入庫する車両は傷んでいるものが
多いです。過去に雑に扱われているか、
チェックされていないからですね。

これは後で仮組付けした時の写真です。
こういう部分も綺麗なのは、車でもバイクでも
きちんと整備されている証です。


バッテリーケースを外す際に、
一緒にヒューズボックスを外し、状態をチェックします。
ここのリレーなどは状態が良いものを手に入れて
いる場合は特に問題が起きたことがないので
交換などはしていません。

ただヒューズ関連は予備のものなども含めて
確認しておきます。

ヒューズボックスで一緒にチェックして
おきたいのは裏側で、
元々純正でグリスが大量に塗られている
この部分は走行による汚れでゲロゲロドロドロの
状態になっているものがほとんどです。

ですので整備の際には一度外して清掃し、
端子回りの状態などを確認します。

この写真は清掃後で、端子回りの純正で
塗られている白っぽいグリスは状態に
問題なければ完全にふき取る必要はありません。

ヒューズボックスボックスの蓋の裏側はスポンジで
リレーの抜け防止の抑えになっているので
掃除ついでに状態を確認しておきます。
この車両はもちろん大丈夫です。

蓋の表面も清掃し組付けてヒューズボックスの
チェックは終了。付属するゴムダンパーとカラーも
チェック済みです。
劣化して亀裂が入っているものもあります。

大事なのはヒューズボックスが取り付けられる
車体側も同じで、汚れまくってゲロゲロ状態の
カプラーとその周辺を根性で掃除、
各部をチェックした後の写真です。

特に有効で簡単になる方法などなく、
一つ一つ粘って掃除、確認をしていきます。
面倒なことをコツコツ積み重ねるのが整備です。

バッテリーケースで隠れている部分の
メインハーネスも清掃しチェック済みです。
これも外した時しか作業できません。

納品後のトラブルを減らすのにこういう部分の
チェックはとても大切で、一度確認しておけば
10年~20年は特にひどい使用状況でなければ
そのままでも大丈夫です。

カプラーがきちんとヒューズボックスに差し込まれて
いるのを確認します。

ようやくヒューズボックス回りの作業が終了。
このあたりが綺麗なのもきちんと整備がされている証で、
上っ面掃除(それもしていないものが普通)
なんてのは、見ればすぐに誰でも解りますよね。

ただし現状販売車や、ここは整備しているが
それ以外は整備していないと言って売る分には
問題ないと思います。後はその状態で買う側
(お客様)が価格から考え、納得するか
しないかだけの話。

車体の相場や、整備内容、程度の良さなど、
全体から考えます。

店の好意、考え方から、どう客観的に見ても
適切なレベルだったり、割安な車両だったり
というものもあります。

私も会社勤めの時に、
価格と内容から良い車両であっても、
うじうじと物を言っていた方を
何度か見ました。

それは物の価値を判断できていないと
いうことであり、整備士も人間、
そういう方は整備士に嫌われ、
結果的に損をします。

もちろん私も含めミスをしたときには
それを認め、謝ります。

さも整備していない箇所も、
全て整備済みかのような売り方を
している場合にのみ問題があるだけです。

次の作業に移ります。
GPZ900RはキャブレターをFCRに換えても
ハンドルスイッチ関連やスロットルケーブル
が純正のままでも使用できるので、
グリップ関連も純正を使用します。

今回の車両はハンドルスイッチは
程度が良いので掃除して再使用、
スロットルケーブルは純正新品に交換。

今回の車体はA12なのでグリップ回りは
本来写真のものとは違う形のものですが、
形状から使用した感じがあまり良いとは
思えなかった為、それ以前のモデルのものを
使用しました。


こういう部品がまだでる時に車体づくりをするのが
良い車両を手に入れるコツです。

何でも後期モデルが良いなんてことはなく、
単にコストダウンだったり、
販売のためにマイナーチェンジで単純に
変化だけ、違いをを求めたもの、
市場からの余計な声だったりで
良いものがダメになってしまって
いることもあるわけです。

単に新しくチャレンジした作られた部品で
ダメなものもあり以前の部品形状に
戻ることもあります。

右ハンドル部の写真です。
グリップ部を外して一度清掃して再グリスアップします。

バイクに乗るにはアクセルの開け閉めが
スムーズに出来、エンジンがいかにそれにきちんと
反応するか否かが命のような乗り物なので、
ここらの整備とても大切です。

グリップ回りの整備のついでに
バーエンドキャップも交換します。

元々ついていたもので機能面で問題なかったのですが、
やや黄色に変色していたのと、形状が好きでなかったので
交換します。

意外とバーエンドキャップはこういうシンプルで
良い形のものがなく、オリジナルで作ったものです。

カワサキ純正で昔売られていたものが
(かなり前から欠品)とても良かったので
見える部分はそれをまねた形状で作っています。
細かい所で、どうでもいいと言えば
どうでもいい所ではあるのですが。

スロットルグリップを組付けたところ。


バーエンドキャップ部分は写真を
取り忘れたのですが取り付けるとこんな感じです。
これはクラッチ側。

スロットルケーブルを交換し組付けたところ。

黄色ペンのチェックマークは
いつもつけているわけではありませんが、
今回のように一気に作業できない時や、
エンジン内の作業には締め忘れてない事が
後でもすぐ確認できるので印をつけることが
多いです。

ケーブル類はよく社外品で動きがスムーズ、
長持ちだと高品質を謳っているものを
多く見かけますが、
純正より長く調子良く使える商品は
とても少なく、すぐに重くなったり動きが悪く
なるものがとても多いですね。

特にスロットルケーブル、クラッチケーブルは。

ファンネルも元々赤の外装色だったため
FCR純正の赤ファンネルだったのですが、
今回黒の外装に変更するので
削り出し物に変更しました。

今回はここまで、次回はGPZ900Rとしては
かなり面倒なスイングアーム関連の作業です。

GPZ900Rはスイングアームの色剥げが
起こりやすいのですが、
外してレストアなどの作業をすると
その間車体を動かすことができなくなるので
段取り良く作業することが求められ
なかなか面倒なのです。

極上ニンジャ整備車両を作る(6)に続きます。

整備模様を紹介しているGPZ900Rはこちら



































コメント

タイトルとURLをコピーしました