車両の保管について

古いバイクの保管はどうされているでしょうか。
当社の場合、長くお預かりすることが多いため、
色々と気を使います。

動く状態でお預かりした、
つまり一台が形になっている車両、
レストアが終わり完成した車両は、
基本エアコンがついた部屋に置き、
温度、特に湿度は高くなりすぎないように
日に何度かチェックしながら保管しています。
日光も普段、あたらないようになってます。

もちろん作業の段取りで、
不動状態でレストア前の物などは
作業中は外に出すことはありますが、
基本中で、外に出す時も屋根の下です。

保管する場所は、
バイクを保管するだけのスペースですので、
人間が快適に過ごすほどにする必要はありませんが、
温度と湿度が両方高いと、とても傷みます。

傷むとサビが進行するのはもちろんですが、
ゴム類の劣化も早く進行します。
また電気系でも接触不良などが起きやすくなり、
キャブレターなども調子が悪くなりやすいです。

こんな話を書いておりますが、
当社ではお預かりしている時に傷まないようにと
考えているだけで、それを皆さんに押し付ける
つもりはありません。

そもそも立派な保管場所を作ったはいいが、
肝心のバイクを購入する費用がない、
あるいは程度の悪いバイクしか購入する予算がない、
となってしまっては、何のための保管場所か
解りません。
あくまでバイク優先、保管は大切ですが次です。

その上で、日本では古いバイクが傷みやすい
環境ですので、事実として知って
いただければと思い書いています。

海外の、湿度が低いところから輸入したものは
傷みが少ないものが多く、それ以外でも
長く古いバイクに携わっていますから、
保管の仕方により大きくバイクの状態が
違うことを実際に経験しています。

ある程度年齢を重ねると、20代の頃の様に
自由に時間が使えなくなります。

そうなるとバイクに乗りたいと思っていても、
なかなか乗りたい時に自由に乗れません。
バイクはたくさん距離を走れば消耗する物ですが、
それ以上に保管状態が悪いまま乗らない事の方が
傷みます。

具体的には古いバイクならば、
できれば時間がない時でも1カ月に一度くらい
は乗っていただきたいです。
また距離も一回あたり20キロくらいは走り、
エンジンをレッドゾーンが仮に9000rpm
からならば、完全に暖機運転が終わった後に
せめて7000rpmくらいまでは
一度は回した方が良いです。

冬に乗れない時期が数カ月間あったり、
あるいは複数台お持ちの方であれば、
乗らないバイクも出てきます。

定期的に乗れる方は問題ないのですが、
もし乗れない期間があるのならば
保管場所に気を使う方が、
乗らずにバイクの調子を崩し、その修理代に
お金を使うよりはるかに良いと思います。

乗らずに置いておく場合は全体的に傷みます。
そしてしばらくぶりに乗ってみると、
最初は良い物を購入していても、
年月とともに傷みがでて、トラブルがでてしまう
ことがあります。
経験からフルレストアしていても、
乗れる回数がへり、5年もたってくると
傷んできます。

人によっては金銭的なことではなく、
乗れずに傷むことが嫌で手放す方もいます。

もし保管するスペースがあり、
それが生活空間に隣接しているのなら、
人間の往来があるので、空気の流れがあって
それほど傷まないのですが、

完全に独立したスペースに保管し、
普段人間の行き来があまりないのなら、
エアコンをとりつけ、温度、湿度が高い
季節だけでもスイッチを入れるのをお勧めします。

なかなかそこまでできる方は少ないとは
思いますが、季節により温度も、湿度も高く
条件が厳しい日本では10年たった時には
傷み具合が全く違ってきます。
つまり維持費が全く違ってくるのです。

人間が快適なほどの大きなエアコンを
つける必要はありません。

ある程度、温度と、湿度が下がれば良いです。
これだけでも全く違います。
湿度だけでなく、両方下がる方が良いです。
除湿機ではパワーがたりないこともあり、
湿度しか下がらないので、エアコンをお勧めします。

こういうふうに考えるようになったのは、
実際に乗れていないのに傷みが少ないバイクに
出会ったからです。

いろんなお客様の中で、
日頃からバイクに良く乗れる方は全く問題ないのですが、
どうしても乗れない時期がある、
複数台持っており、一台あたりの乗る回数が
少ない方などで、傷み具合に大きく差があるのです。

その傷み具合の差が、
空気の流れがほとんどない場所に置かれている、
完全に屋内でも温度、湿度が高い時などに
そのままにしているという方と、

忙しくて動かすことが少ないけれども、
暑くて湿度が高い時にはエアコンをつかっていたり、
あるいは人の行き来が良くあるという場所に
置いているという方で全くと言っていいほど
傷み具合が違います。

もちろん後者の方が傷みが少ないです。
もちろん当社でお預かりしているものも
少ないです。

もし予算があり、条件が許すのなら、
小さなエアコンでも良いので取り付けてください。
電気代もそれほどかかりません。
これは今、エンジンオイルなどがまだ漏れて
いないのなら、
先々オイル漏れなどが起きにくくなります。

またこういう部分にも効きます。
金属部分、ゴム類や、ガスケット類、電気系など
全てです。
繰り返しますが人間が快適に過ごせるほどのもので
なくて良いのです。どうでしょうか。

話は変わりますが、
私はダメなものを良いものだ、
言って売るのが好きではありません。
散々過去にダメだと言っておきながら、
平気でそのダメ車を売る神経が解らない。

店側の言う良い物とは
それぞれの店で基準が違います。
その基準が多少違っても良いのですが、
言っていることに一貫性が欲しい。

例えば、乗ると新車当時からダメ車。
散々に誰もががまともに走らないとの評価を
した車だとします。
これが中古車になったら、古くなった分、
もっとダメ車なわけです。

ところがそのダメ車が販売されて
10年たって中古車になった。

その中古車は今まで
オーナーがとても大切にしており、
保管を今回前半で書いているようなことにも
気を遣い、素晴らしく程度良く保ち、
走行距離も1万キロしか走っていない。

それを理由があり手放すことになった。
それを買い入れた車屋さんでその車を
売ることになった。

その時にその車屋さんが
「名車中の名車、走っても眺めても
最高の車です」

なんてのは好きではない。
見た目は人それぞれ好みが違うのでよいとして、
走っても良いなんてのは嘘です。
新車時からダメ車なのですから。

その車がたとえダメ車であっても
欲しい方はいると思います。
スタイルが好きな人はいるかも
しれませんし、安いかもしれません。
あるいはブランドなど。

これを売るときには
「希少車、屋内保管、走行距離1万キロ、
程度のいい車です」
と言って売れば全く問題ありません。
これは事実を言っているだけです。

つまり、新車という基準から見て
程度が良いという判断は解りやすい。

ところが、その新車から見た時に
程度がどうかという以外の判断基準、
つまりその車が元々走って良い車かどうかは
何でも取り扱うような店で正しく判断することは
難しいでしょう。

ですから買う側がその車が元々走ってどのような車か
情報を仕入れ、知っておかなくてはいけません。
でないと後悔することになります。
提灯記事の多い中で、これは結構難しいことです。

当社で言えば
当社は古いバイクを扱っており、
専門分野に絞っています。
その部分については情報もそれなりに
持っており、経験もあります。

また古いバイクは構造がシンプルで
似たような設計、構造の物が多く、
1台解れば、他の物でもある程度推測
できるものもあります。

ですのでその基準、判断を持って
良いバイクかどうかを判断します。
それプラス新車時に比べてどうだとか。
解らない物を解ったふうなことは
言いません。

ところが、
どう考えても元々良い車でも何でもないのに
最高のスポーツカーだとか、
良い車だと言って詳しくない人に売るのは
どうか。
商売の仕方も人それぞれなので、
いろんなやり方があると思います。
ただ、私は好きではない。

有名な店であったり人であっても、
この基準の部分を、買う側の人は
きっちり見た方が良いのです。

つまり新車時の状態を良く知っている、
あるいは新車から見て状態の判断ができる、
ということも素晴らしいノウハウなのですが、
乗って良い車かどうか解ると言うことは
別なのです。

もちろん両方解るのが良いに決まっていますが、
正しく評価するのはとても難しいことです。
ですから当社では、何でも取り扱いすることは
せずに得意分野だけに絞っています。

なぜバイクでなく車に例えるのかは、
バイクについてはプロなので、
皆さんとは同じ立場ではありません。

車であれば、自分で買う時には
皆さんと同じ状況です。
コネなんかがあるわけではなく、
自分の考えで探します。

ですから、たとえ有名人、有名店、
大きな規模の会社が言っていることであっても、
そのまま信じたりはしないで
少し引いて考え、
「確かに程度は良い、
だけど走りについてはそんなことはないだろう」
と自分なりの考え、知識を持つことが大切です。

つまり物理的にエンジンがものすごくでかくて、
重心が高い物が使われていて、
どう見ても車体が弱そう、なんて事が
解っているのに、それを最高のスポーツカーだ
買え、買え、高くて当たり前だ、
なんてことを言う人の言葉を鵜呑みにせず、
それでもその車が好きで買うことを決めているのなら、
走りの部分でなく、程度の良さだけを
考えて店を選び、値段と相談し買えばいいのです。

これは作っている側のメーカーにも言えます。
乗ってみれば全くスポーツカーでもないのに、
スポーツカーの様な売り方はどうか。
プロのドライバーが運転して、宣伝して
いるからと言ってその車がスポーツカーとは
限らない。お金をもらって宣伝しているのですから。
それを解らない若い人が買えば、
そういうものスポーツカーだと思ってしまいます。

もっと安くて良い物があるかもしれません。

また私(40代)か、それよりも上の世代くらいの
方でも、そういうものを得意げに買う。
全く理解できません。
同じ金額を出すのなら、もっとまともな物を
買えばもっと楽しい思いができるのに。
名前やブランドだけで選ぶと損をします。

人数は少ないですが、若い人にも
スポーツカーや、古いバイクが好きで
欲しいと思っている人もいると思います。

そういう今となっては貴重な若い人に
本当に楽しい物、プラスになる物を
教えてあげてほしいと思います。

それにしても、最近は自動運転に
まっしぐらですね。

AからB地点に移動するのが目的で、
乗り込めば安全に移動できるなら、
それが良いという話のようです。

そういう移動目的だけならば、
若い人は無理にお金を出して、
車もバイクも買わなくて良い、
ということになるのでしょう。

ただ当社のフェイスブックで約600人ほど
今現在フォロワーになっていただいておりますが、
(感謝です)
皆さんは移動目的のものと、
運転自体を楽しむ乗り物の違いを
解っておられると思います。

私も安全で、時間もかからず、
ただ目的地に着きたいだけならば、
自動でも良いです。

ただ自分の思うように動かしたい、
動きたい、そして目的の場所まで移動する。
その場合、自動は却下です。
これが本来のバイク好き、車好きな方の
考えだと思います。

そのためにエンジンの高出力化が進み、
それに合わせ車体も進化してきました。

ところが電動パワステ、低燃費、ハイブリッド、
電気自動車と言われ始めた頃から、
今まさに自動運転が偉いみたいになっています。

つまり世の中の車やバイクが好きではない大勢の人、
つまり移動の手段として、車やバイクを道具として
使っている方たちの求める方向に事が進んでいます。

これではしばらくは運転して愉しいものなど
期待できません。

古いバイクには余計な制御物は全くついていません。
加速、制動、旋回、全部自分、乗り手次第です。

上手く乗れば良く走り、
上手くいかない時も、
どうすれば上手く乗れるか、
どう乗りこなすか考え、操る。
これが楽しいのです。

スポーツなんかも誰がやっても
上手くできるような道具があったら、
そんなもん、面白くも何ともありません。

自分の意思100%で動かし、それによって
結果も違ってくる古いバイクは、やっぱり
運転して面白いのです。
良い物があるうちに行動すべきです。

私も先日、家族の車を買ってきました。
金額は最近のバカ高い軽自動車の新車より
はるかに安いものです。

当然中古車。

確か2007年式だったと思うのですが、
製造されて11年ほどたっています。
走行距離が、
何と3000キロぐらいでした。

実は今回書いている内容はそれも
関連しています。

保管状況は極めて良く、10年以上たっているもので、
スーパーカーの様な特別なものでもない
乗用車がここまで状態が良い物は始めて見ました。

状態が良いのに安い理由は簡単で、
ありがたいことに世の中で言う不人気車だから。

好きな物が良い状態で安く買えるのは
とてもありがたい話で、新車で買って
大切にしてくれていた前オーナーに感謝です。

不人気車ですが以前から私は好きで、
もともとその車のことはとても詳しいので、
判断も簡単でした。
人がいいというものではなく、
自分が良いと思うものを買うのです。

それを発見し、日頃、皆様に言っているように
すぐ行動。連絡をとりました。
中古車はそれ一台しかないからです。

仕事の予定が詰まっているため、
休みしか動けないのですが、
車は滋賀県にあり現車を見たかったため、
増井君も連れて行き、高速を走って見に行ってきました。

こういう低走行物は書いているように
乗っていなくても状態が悪くなります。

ところがその走行距離が少ない中でも
定期的に乗っており、ディーラーの記録簿に
記録が残っておりました。

要は奥さん用に買ったのですが、その奥さんが
乗らずに旦那さんが時々動かしていたとの事。
こんなこともあるのかと思いました。
タイヤを途中で交換してありました。

もちろんその場で契約し、帰ってきました。

プライベートなことを何でも書くような
アホなことはしませんが、
来店のお客様には今回のことも何でも話します。

良い物を見つけたら即行動です。
回りに言うだけで、自分は何もしない人がいますが。
当社はそんなことはありません。

最後にこの滋賀県の車屋さんですが、
通常こういう普通の車は運送会社さんが運んで
くるものです。

ですが直接ローダーに載せて
当社まで持って来てくれるとの事。
一人で店をされているようですが、
そんな店もあるんですね。
きっと特別にしてくれているのだと
思うのですが。毎回だと大変すぎます。
当社も持っていくのは大変なので。

ちなみにその店(当然車屋さん)の
事務所の中にNSRとZX-10の綺麗な物が
置いていありました。

なぜかこういう人(店)にめぐり合うのです。

写真は内容は関係ありませんが、
先日このMK2のオーナーさんとメールの
やりとりをしていて、
再度写真を見て、やっぱりかっこいいなと思い
ご紹介。
MK2のベースがもっと安ければな~。

 

次の更新ではミッションについて
書こうと考えています。

コメント

  1. 高尾 より:

    謹 啓 んーーー コメント 身にしみます。
    前々回の車検では、月一以上乗れていたのですが、子供が生まれてからは難しくなってきました。
    将来、短い時間でも我が子とのバイクライフを夢見て所有しています。
    できるだけ、なるべく、アドバイスどおりにしたいと思っとります。

    MK2 いいですよねー。 所有のバイクよりも、このデザインにあこがれます。(色も紺が好き!!)
    まぁ 経済的にも、年齢的にも、今のバイクで精いっぱいですが・・・

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