排気量の選択

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バイクの好調さを保つ一番の秘訣は何でしょうか?
今回はエンジンの暖機を適切にする、
エンジンに合ったオイルを選ぶなど
よく聞く意識して行う事ではなく、
無意識にしている面から話したい思います。

もちろんそれなりに好調な車両を買った
前提での話にはなりますが、
それが維持できていたり、むしろ乗り込むほどに
スムーズさが増して、まさに絶好超!
となっていくには?という話です。

実は先日車検で入庫したZ1000R2、
車検ですから整備すべき箇所はあるのですが、
オーナーさんから絶好調という言葉を
いただきました。

約10年前に納めた車両で、その際に
エンジンも車体も大掛かりな整備を
しているのですが、
エンジンはパワフルにスムーズに上まで吹け、
それに合わせたように車体も好調なのです。

日々のメンテナンスはオーナーさんご自身で行っており、
車検など要所で当社にメンテナンスを
出していただいています。

走行距離は納車してから3万キロほど走っています。

そして今回お話しする好調さを保つ秘訣なのですが、
エンジンの排気量によってアウトプットされる
トルク、出力が運転する持ち主の方に
合っているかということです。

車体の方はエンジンの出力が発揮しやすい状態で
あればよい。つまりアクセルを安心して開けられ、
良く曲がり、充分に止まってくれればよい。

すこし付け加えれば普段よく走る状況にあった
車体であればよいという感じでしょうか。

エンジンの出力が自分に合っているかどうかは
運転している時に常用している回転域で解ります。

Z1000R2を例に挙げればレッドゾーンが
9000回転から始まります。

まず①とさせていただきますが、
走っている時に、しょっちゅうレッドゾーン入口の
9000回転まで使うとなれば出力不足と言えます。
もっと走れ走れと乗り手がせかしている状況だからです。

こうなるとエンジンにも車体にも負荷がかかりすぎて
通常壊れないようなところが傷んで壊れたりします。
解りやすいのはカムチェーンテンショナー回りなど。

ただこのような場合はメンテナンスサイクルを短くする、
例えばオイル交換を早めにおこなったり、
エンジンブレーキが強くかからないように運転するなど
運転する方の意識でバイクを守ることができます。

つまりアクセルを開けられるという事は
運転する側に気持ち的に余裕がある状態のことが
多いので、それをバイクが傷まないように意識を
向けることでバイクを守ることができます。

ただこの場合はもっと速いバイクの方が
オーナーさんに合っていると言えるかもしれません。

次が②です。
一番オーナーさんに合っていると言えるのは
普段無意識に中回転域の4000回転位から7000回転位まで
使え、時々空いた道があれば引っぱって
8000回転~9000回転位まで使うことがある、
こんな使い方です。これが一番傷まず、運転する人も
存分に楽しめる関係だと思います。

次が③です。
一番よくないのが、エンジンをほとんど回せない
状況で使っていること。
9000回転からレッドゾーンなのに、
普段走っている時には普段6000回転ぐらいまでしか使えない。
意識して無理をしないと高回転まで回すことができず、
一度走りに行っても高回転まで一度も回すことが
出来ず帰ってくるような状態です。

エンジンに力がありすぎて回せない状況に
なっているわけです。あるいは良く走る道が
スピードの出しにくい環境である場合ですね。

これは乗らないよりはるかにましですが
エンジン、車体共に使用状況が合っていない状態で
とても傷みます。

そもそもバイクは②のような適切な負荷で走れる時
好調さを保ち、壊れにくくなります。

もちろんバイクを買う時にはまずカッコや見た目で
選ぶことが多いと思います。

私が古いバイクの整備レストアチューニングの仕事を
していて、経験からぜひ参考にしていただきたいのが
ある程度年齢を重ねたら見栄を張らず無意識で
②に当たるような運転ができるような排気量を選ぶこと。
安全にもつながります。

あるいはそこから多少外れる回転域で走ることに
なっても、好調さを保ちやすい車種もありますから、
(初期型スズキGSX-R1100など)カッコが好きな車種に
そのようなものがあればその車種を選ぶことです。

なぜ無理しなくても適度に回せる排気量のものが
良いのでしょうか?

その理由として、エンジンの温度、燃焼室内の
温度が絡んできます。

人間を例にすると解りやすいのですが、
普段よく走っている人がゆっくり歩いていても
体温は上がってきません。負荷が足りないのです。

筋トレを普段からしているは普段持っているものより
大幅に軽いものを持ち上げても体温が上がらず、
血流があまり良くなりません。

よく普段身体を動かしている人が
逆に運動していないと調子悪いみたいな。
これにバイクも似ている部分があります。

自分が扱える出力の排気量車であるなら
無意識にそれなりに回して乗る②の状態で
乗ることができます。
この時、元々エンジンが設計された条件に
合致しますから、燃焼室内の温度が上がり、
エンジン全体も適切な温度になります。

そうして走っていると車体側も設計にあった
動きで走ることになります。

つまり足回りのフロントフォークや、ブレーキ、
リヤサス回りの部品も適度なストローク、
ストロークのスピードで動くことができ、
各部品の負荷も丁度良くなります。

このような設計者の使用予定条件に合った
使われ方であれば自然と故障が減り、好調さを長く
保つことも出来るわけです。

つまり先ほど紹介したZ1000R2とオーナーさんの
関係はその状態になっているため、好調さを
保ち、運転も楽しめ喜んでいただけているのだと思います。

バイクを運転して調子が良く、楽しく乗れ、
故障も少ない。
バイク好きにとってこれに勝る喜びはありません。

そういう人も多くいると同時に、
良いものを手に入れてもなぜかすぐに調子が
悪くなるそういうタイプの方もいます。

それはオーナーさんとバイクとの排気量の
ミスマッチング、それとは別に
走っている道とバイクが合っていないことも
あります。

これも私を例に挙げますと
私が以前当社のデモ車、Z750D1
(1198ccフルチューン仕様)を
いつも走っている会社回りのテスト道でなく、
正月休みの時に家の近所の小さなカーブが
続く峠道を走った時、全くあっておらず
②の状況になりませんでした。

正月ですから寒い時期、さらにカーブが小さすぎて
上まで回すことがほとんどないわけです。
こうなるとバイクにとっても良いわけなく、
運転する側もフラストレーションが溜まりまくり。
運転していても楽しくありません。
使えていない感がものすごくあるわけです。

ではその道を750ccのCB750Fや、GPZ750、
2気筒のドゥカティ900ssで走ったらどうだったでしょうか。

それはレッドゾーン付近まで時々回すことができ
②の状態。存分に楽しめたと思います。
こういう道を走るためのようなバイクからです。

ただそうかといってZ2のノーマル車であれば
車体がZ1同様の車重ですから750ccのトルク、
エンジンパワーであれば全く楽しめないのは確実です。
この場合はZ1同様にボアアップしてしまうのが
良いですね。

古いバイクフレームの車体剛性がそれほど高くないため
楽しめるスピードと負荷に幅があります。

ぜひ排気量も車種選択の中に頭に入れていただいて
長く好調さと運転しての楽しさを得ていただきたいと
思います。

先程多少外れる回転域で走ることになっても、
好調さを保ちやすい車種として、例として
初期型スズキGSX-R1100と書きました。

これは大きい排気量のバイクなのに、
車体は大きくなく、フレーム剛性もきちんと
まっすく走る高すぎない剛性を保ちながら軽量、
そして要のエンジンは無理に高出力を
絞りだしていないバイクだからです。

この後の年式の1100は車重は重くなりつつ
エンジンも出力を絞り出す方向です。

そうなると使用する回転域、速度域は
負荷の高い所でしか楽しめなくなります。
バイクが高負荷での走りを要求してきます。

ですが初期型のGSX-R1100は無理に出力を
その後のモデルに比べ出しに行っていない為、
多少回転域が下であっても、上であっても好調さが
保ちやすい。
これには普通の空冷ではなく大量のオイルで
ヘッド内部を冷やす油冷であることも
関係があります。

初期型油冷1100は良いものの数かとても
少ないですが、お勧めできるバイクです。

また750は見た目はほとんど同じで
750ccでも車体が軽い為充分にトルクは
あるのですが、ある程度回して乗ることが
楽しいバイクで、両方乗ってみると印象が
結構異なりどちらも本気で作られた
良いバイクです。
マニアの方なら両方欲しくなる名車なのでは
ないでしょうか。

写真はGSX-R750のメーターと
今回の話にでているZ1000R2になります。

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