全てのレーサーレプリカ車の元

販売車両

VFR750(RC30)が驚くほど高値で取引されています。
チタンコンロッドの採用やヘッドのコンパクト化など
特別なV型4気筒エンジンもさることながら
当時のホンダさんらしいデザインとカラーリング、
その存在価値は高まる一方で、新車に近い保存状況なら
ニンジャh2を2台買えるほどの高値で
取引されています。
新車に近いものが出てくること自体がすごいのですが。

ですが後のすべてのレーサーレプリカの元となった
バイクといえばなんといっても初代GSX-R750で、
本物の名車です。
私も好きなこのバイクついて何回かに分けて書きます。

このバイクは80年代前後にあったHY戦争
(ホンダとヤマハ)これの影響を受け、
3位のスズキと4位のカワサキが巻き込まれて
当時3位とはいえ窮地だったスズキが
とても力が入れ造られたバイクです。
やるしかなかったわけですね。

このように良いバイクが生まれるには
その時代の背景など、
メーカーが本気になる理由があるものです。

平穏な時、余裕があり緊張感がない時には
人は本気を出しているつもりでも、
本当の意味での本気はなかなかでないものです。
そういう意味はいつも当社は窮地ですな。

今のようにAIもなく、生産の技術も極めて
アナログな時代のモノですから、
結局人の力がそのままバイクの良さに
直結しています。

本気度は外から見て誰でもわかる部分からも
伝わってきます。
それは車体各部に無駄なすき間がなく、
詰められた各部品のクリアランスです。
長くこの仕事をしていますが、技術が進んだ今でも
本気の感じられる車両はとても少ない。

こういうことはただぼーっとバイクを眺めて
どうでもいいばかりを指摘する人間には
解らないことです。
見ているところが的外れですからね。
この無駄のなさを眺めているだけでも
酒がおいしい。

今であれば人の仕事を助けてくれるデバイスが
たくさんありますが、
1970~1980年代などGSX-R750が発売された
時代では一つ一つ確認して無駄をなくして
いったのは確実です。
これがいかに面倒なことか。

例えば自分でもマフラーを作っていますが、
このすき間を無駄なくコントロールして
作るにはとても手間がかかります。
一人で全部決められますし。

削り出し部品をそのまま組付ける時と違い
溶接すると寸法が変わります。
それがメーカーはマフラーだけでなく
車体1台となると部品点数も多く大変でしょう。

他との兼ね合い、見た目や実際に運転したときに
どうなるかも想像する必要があります。
特に大きな部品は寸法が変わりやすく
クリアランスは大きめにして無難に作りたく
なるものです。それをしていない。

今はどうでもよさそうなところでもクレームが
つきます。
メーカーはごく少数のそういう意見も
常に気にしながら物を作らなければいけない。

例えば同じアクセルを開けるにも
重さがちょうど良いという人が殆どなのに
一人すごく重いという人がいればいちいち
理由を説明したりそのことを配慮に入れなければ
いけなくなる。

また同じものに接していても
アクセルが逆に軽すぎるという人もいたりする。
どこを落としどころにするかを決めるには
数を売りたいメーカー側からすれば、
その判断に勇気がいるのです。

無難なモノづくりだけでは世の中個性のない
つまらないものばかりになる。
時にぶっちぎった考えでどうだ!というものは
後になってみれば名車であることも
あるわけですね。

そういう事から言えばこの初代GSX-R750、
1100は勇気をもって本気で作ったという事が
端々から伝わってきます。

正面からバイクを見れば並列4気筒のエンジンを
搭載しているのに、そのコンパクトさ、
車体の細さ、バンク角の深さに驚きます。
当然それを生み出すには無駄な部分を徹底的に
排除する必要があります。

マフラーのサイレンサー部分はへこませて
外にはみ出ないように作られ、
スイングアームとマフラー部品のすき間も
数センチレベルでなく数ミリ単位で作ったのでは?
という箇所もあります。

1100の方は排気量が大きく消音の為
サイレンサーが大きくなってしまって
カッコ悪くなってしまっていますが
750は細みでノーマルなら見た目は
750ですね。

カウルとエンジンのすき間もミニマムです。
バイクを倒せば割れが生じるでしょうし、
乗り方によっては熱で焼ける箇所もあるかも
しれません。
それでも量産品を攻めたつくりにしたその魂が
素晴らしい。

エンジンはヘッド部分などに
オイルを大量に噴射して冷やす油冷と
言われるエンジンが採用されています。
油冷と言ってもこれはラジエターや
ウオータージャケットを持たない
空冷エンジンそのものです。

当時でも水冷の方向であった時代に
軽さを優先してこの方式をとったわけです。
先に発売された400のGSX-Rは水冷でした。

今まで何度も書いていますが
車重は軽い方がバイクのメリットを存分に
楽しめます。

GSX-Rが発売される前の世代のバイクは
どのバイクも世の中の意見を聞くたび
車重がどんどんかさんできていました。
それをバイク本来の軽く作ることにより重きを
置いて流れを戻したのです。

話の途中ですが今日はここまで、
今バイカーズステーションの佐藤編集長の
持ち物だったCB750Fや低走行オリジナル車の
GPZ400Fと一緒にGSX-R750も車検に通しています。
(CB750Fは売約済み)

整備メニューを決めるのに一番良い方法は
試乗して確認することです。
車検が通ったら試乗してどの部分を整備するか
決めたいと思っています。

GPZ400Fは超低走行なのでまずはできるだけ
オリジナルを重視する予定で、
GSX-R750はキャブが強制開閉式、
そのまま整備でいけるか確認して
著しくポテンシャルを削いでいるようでしたら
キャブレターの交換も考えます。
オリジナルはエンジンのポテンシャルに対し
口径が小さめなんですよね。

外装は塗装屋さんが塗れれば
初期型の赤黒系にしようと考えています。
納期の関係で塗装屋さんが今までと違うところなので
問い合わせ中。

ちなみに輸出仕様は100㎰ぐらいですが、
大きく違うのはマフラーの抜け具合と、
カムシャフトのリフト量が違います。

今出力が欲しいのであれば、マフラーと
キャブですかね。マフラーが難しいのですが。

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