面白いとは何か

日記

販売車両を紹介するときに私は運転して面白いという
言葉をよく使います。

このあいまいな表現、面白いを伝えることは
文章を書くプロであってもなかなか難しいもので、
おいしい食べ物をおいしい以外でどう表現するのかに
似ていると思います。

この運転して面白いは人によっても違うのですが、
私はこう考えます。

基準として何馬力だとかトルクはいくつだという事も
この面白いとされる基準に出てきます。

ですが、バイクでも車でも高出力車を運転した時
バイクにのせられている感、
バイクの方が乗りてよりもはるかに上をいっている感を
感じた方もいるのではないでしょうか。
この時点ですでに面白いからは外れますね。

高出力車は直線で速く、加速が鋭くなります。
ところが国内では存分にアクセルを開けて
楽しむというわけにはいかず、この鋭い加速だけと
いう行為は何と言っても飽きやすい。

よってただ単に速いというだけでは面白いに
持続性はありません。せっかく買ったバイクも
すぐに手放すことになるでしょう。

パワーがあるのがダメなのではありません。
それを楽しめる、つまり使えるシャシー(車体)
ではないことが原因です。

つまりそれが出力180PS、車重180キロの高性能バイクでも
それが低速域から高速域まで充分に扱える車体になっていれば
運転のプロでない人、つまり私のようなものでも
それは面白いのです。
バイクとの会話がよくできるという事ですね。

もちろんその性能をフルに発揮して速く走れる
わけではないのですが、適度なよい緊張感をもって
運転することができます。

出来の悪い高出力車は恐怖だけ感じるか
バイクに乗せられている感覚だけ残り、
これは面白くないと言えます。

逆に車体は良いのにエンジンの出力が足りない時や、
運転者の技量が優れており、常に全開にして
もっと走れ走れとせかすような時も
面白みがなくなります。

バイクに手を加えるとき、
お金をどんどんかければよいというものではなく
そのバイクにとって何が必要かが解るライダーが
製作してこそ面白いバイクが製作できるのです。

つまり自分が運転もしないのに面白いバイクなど
作れるとは思いません。

優れた乗り物は単に速いものではなく
乗り手とバイク(機械)とのコミュニケーションが
成立するものであると考えます。
このバイクとのコミュニケーションがとれることが
私の考える面白いバイクです。
この対話ができない状態ではバイクの本当の
楽しみを知ることができない。

当然そうなると整備も時にはチューニングも
必要になってきます。

最近当社では以前のようなカワサキZ系、
J系、一辺倒ではなく
それ以外の車種を多く勧めています。

それはあまりにもそれらバイクの値段が高くなりすぎ
という事がきっかけになった面もありますが、
私の年齢も50歳を超え、他にも知っているバイクで
良いもの面白いバイクが沢山あることを
皆さんに知っていただきたいと思ったわけです。

バイクを手に入れたいと思う理由の一つに
スタイルつまり見た目が良いという事が
まず挙げられると思います。

ですが私はそれだけで売りたいとは思えません。
たまたま前回DUCATI900SSを紹介したので
例にしますが、ドゥカティを手放しでほめる気は
ありません。

このバイク、空冷2気筒エンジンを積んでいますが
出力では同じ排気量のニンジャにも及ばない。

それより古い年式のものに比べればメンテナンスの
頻度もマシになったとはいえ、ニンジャに比べれば
それなりに整備は必要です。

ですが私はこのバイクが好きでお勧めする。

バイクという乗り物は小さい排気量で速くなくても
運転して楽しいものもあれば、200キロ以上で
高速移動できてもつまらないものもある。

その中で2気筒空冷エンジン排気量大きめの
このバイクは個性的、そもそも90度Lツインエンジンは
前後長が長く、理屈でいえばホイールベースが長くなり
スポーツバイクには適さない。

エンジンのヘッドにもデスモという機構が
使われており、バルブスプリングの性能が上がった
今日ではそれを必ずしも使う理由も見つからない。
ですがハーレーにしても、このドゥカティにしても
主義主張がはっきりしており全世界で大きな支持を
得ています。

それは見ての格好の良さもありますが、
運転して抜群に面白く、この前後長の長いエンジンが
生み出すシャシーとのバランスが当時の日本人には
生み出せないものを持っているからです。

数値で表せる性能が優れていても
人間にとってそれがある程度以上になれば
数字で表せないところこそが重要なのです。

最近紹介している各バイクは
どのバイクもその部分がとても素晴らしい
バイクたちなのです。

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